2006-10-07

感じられる前の世界

ペンローズの三角形


僕はなにも、無理矢理に量子論を仏教に結びつけようというのじゃないんですけど、どうも、非常に興味深いのが、Superpositionなんです



二重スリット実験という、量子論だけでなく物理学すべてにとって最も基本的な実験があります。物理学に詳しい人は説明いらないと思いますけど
レーザービームを照射して、二本のスリットを通すと、光の波動としての性質によって干渉作用がおこり、縞模様が観察されます
これを、電子銃で電子を一つずつ発射して二本のスリットを通すと、一つの電子なのに波としての性質により、やはり干渉作用が観察されるのです

英語のサイトですけど面白いので見てください
こちら
画像の緑のボタンをクリックするとレーザーが発射されます
次のページは電子が干渉する様子です

つまり、電子は粒であると同時に、波でもあることが観察によって確認されているのです

この現象をどのように解釈するかが、物理学上の大問題で、いまだに完全な決着はついていません

おおまかに言うと
コペンハーゲン解釈
エヴェレットの多世界解釈
の二つに分かれています

この二つが、量子論の面白さの核心でもあるのです

コペンハーゲン解釈では、電子の位置は、観察されないと決定できません
観察されるまでは、一個の電子は「ある場所にいる状態」と「別の場所にいる状態」が重なりあっていると考えます
重なりあっている、のを英訳するとSuperpositionとなります

エヴェレットの多世界解釈では、観察者の数だけ世界があると考えます。パラレルワールドですね
SF的な感じですが、物理学の世界では、コペンハーゲン解釈が主流として受け入れられています

また、電子は「位置を決めようとすると速度が決まらず、速度を決めようとすると位置を決めることができない」という不確定性原理によって、必ず、あいまいにしか捉えることができないことが知られています

アインシュタインは、EPRパラドックスを主張して、量子論のあいまいさを批判したのですが、ベルの実験によって、光速をこえた情報伝達があることが証明されました

量子論的には
月は見たからそこにあり、見ていない時はそこにいない
ということになります

コペンハーゲン解釈によれば、電子の位置がどこか決まるのは、シュレーディンガー方程式によって、観察した瞬間に確率論的に決定されることになっています
しかしながら、数学的に計算すると、物質の世界では電子の位置が決定できないことが証明されました
それを、証明したのが、今のコンピューターの原理を発明したノイマンです
マッドサイエンティストなどと呼ばれたりしますが、なかなか画期的なのは
「電子の位置が決まるのは、人間の意識の中である」と結論づけたことです
まあ、これは、今のところ物理学の主流ではありませんが、量子論と意識とのつながりが完全に否定されたわけでもなく、様々な研究が今も続いています



と、これは前置きです

言いたいのは、観察される前の状態、「ここである状態と、あそこである状態」が共存して重なりあっている、Superpositionです

光速をこえた情報伝達がSuperpositionでは行われるのです


色即是空のかなた

僕らは感覚器官がとらえた世界の中に閉じこめられて暮らしている

見えた物を信じたり疑ったり、聞こえた物を信じたり疑ったり
暑さ寒さを感じ、美味しいまずいを感じ
感じられる物が世界の全てだと思いこんでいる

目で見る前の光
耳で聞く前の音
舌で感じる前の味
皮膚で感じる前の感触
それが、あなたというフィルターを通さない、ありのままの真実

自己の拡大は進むべき道ではない
感覚器官の中に閉じこめられている現実が変わるわけではない

自己否定も道ではない
めちゃくちゃで、バラバラの自分になるだけ

感覚器官に写し出される前の、ありのままの世界
世界の本当の姿を知っている自分になるのが、道

あなたは、すでにその道を完成した存在を知っていますか
全く完全に我執がなく、それでいて個性があり生命に満ちあふれた存在

五神通と常・楽・我・浄の境地
大慈悲の感触


感覚器官に写し出される前の、ありのままの世界
感じられる前の世界、それこそがSuperpositionなのです

続く

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