第2節 構造形式(竣工)

概要。桁行五間、梁間五間、一重、入母屋造、向拝一間、本瓦葺、南面して建つ。

平面。内部の正面寄り入側一間通りを外陣、これより背面寄り梁間三間と、桁行の中央三間の間を内陣、内陣両脇と背面一間通りの入側を脇陣及び後陣に区劃し、内陣後方に一間の厨子を置く。身舎周囲に切目縁を廻らせ、正面に五級の木階段を設ける。身舎正面中央に一間の向拝を付す。

基礎。身舎柱礎石は地山自然石、向拝柱礎石は花崗岩切石、縁束礎石は砂岩切石(一部に花崗岩を含む)とする。
 雨落葛石は正面のみ花崗岩、その他砂岩とし、背面は緑泥片岩の割石を積む。背面以外の雨落排水溝々底及び身舎床下、亀腹ともコンクリート打ちモルタル塗仕上。
 正面木階段下の地覆石は花崗岩切石、同階段周囲の叩きは砂岩切石敷とする。

身舎軸部。総円柱、側柱は頭貫、足固貫を通し、頭貫鼻は四隅に拳鼻付。正面両脇間の連子窓部分のみ腰貫入れ。内陣柱は柱頭に棕付。頭貫、飛貫を廻し、柱足元は梁行方向のみ足固貫を通し、頭貫以外いずれも楔締め。
 側柱通りの内外に内法長押、縁板上に切目長押を取付け、出入口部のみ切目長押上に半長押付き。入側には各柱通りに繋梁虹を入れ内陣柱取付際に持送りの肘木付、側柱上は斗○にて受ける。

身舎柱間装置。側柱通りは正面中央三間と両側面前より第一の間及び背面中央の間に両開棧唐戸を釣込む。背面桟唐戸のみ内法長押と半長押間に、その他の桟唐戸は弊軸に釣込み、いずれも藁座金具付。正面両端の間は腰貫上に連子窓、腰壁付とし、両側面の前端の間を除く各四間及び背面の中央間を除く四間はいずれも真壁白漆喰塗。
 内陣周囲のうち厨子背面は来迎壁とするほか各間とも引違格子戸を建込み、鴨居上は吹寄せ菱欄間を篏込む。内陣背面の両端間は来迎柱寄りに小脇柱入れ、来迎柱間に篏板入り額縁を篏込む。
 来迎柱間は下方を仏壇下の出入口のために敷居、鴨居を入れ、中央に片引板戸を建込み、飛貫、鴨居間は切面付額縁を廻らせ縦板張りとする。
 両脇陣の前より第一、第三柱筋は引違格子戸を建込み鴨居上は開放とする。
 側柱通りの頭貫、内法長押間は横篏板。内陣柱通りの頭貫、飛貫間の小壁は真壁白漆喰塗仕上。

斗○ 側柱通り和様三つ斗組、斗○間中備は四面とも間斗束。内陣柱通りは唐様三つ斗組、内陣のみ出組とし天井廻縁を受ける。斗○間中備は各間とも斗○一組を入れ詰組み。
 内外とも巻斗間及び通肘木と 掛間を面戸板篏とするほか、斗○間の小壁は真壁白漆喰塗、丸桁及び 掛とも巻斗にて含む。
 内外陣境通りの内陣柱上の斗○は正面寄りに入る 掛受のため繋虹梁上に大斗を置き内陣柱上の斗○と連斗する。

軒廻り。二軒、本繁○、四隅に和様隅木、飛擔隅木鼻に隅木蓋付。木負、茅負とも隅反り、茅負、切裏甲は隅増付。化粧裏板縦板張り

縁廻り。身舎四周に切目縁。四隅及び側柱通り筋に円縁束を建て、側柱取付の縁板掛間に縁繋ぎで繋ぎ、四隅に隅扠首入り。縁板掛と縁葛間に縁板を渡す。側柱通りの足固貫下に犬除け柵(新設)取付。

床。総拭板敷き。大引上に根太を架渡し、内陣柱際は根太挟み込み。外陣全面と内陣正面及び両側面に紋縁付畳敷込み(仮設)。

天井。外陣の背面寄りと内陣は格縁入り組入天井とし、入側周囲一間通り化粧屋根裏。

厨子 桁行一間、梁間一間、本瓦形板葺。唐様仏壇上に置く。
 軸部 円柱、頭貫、腰貫を通し頭貫鼻拳鼻付。柱上に台輪をのせ、内法長押、腰長押、地長押取付、腰長押上に半長押を置く。 
 柱間装置 正面中央に弊軸入れ双折板唐戸を釣込む。弊軸両脇は唐戸面の額縁付小壁板 篏込み。正面の腰長押と地長押間に束を立て五間に割り、格狭間入れ。両側面は横篏板壁。
 斗○ 唐様出組。丸桁下に実肘木付。通肘木と丸桁間に蛇腹支輪、斗○間横篏板壁
 軒廻り 和様二軒、繁○。木負、茅負とも軒反り、茅負は隅増付。化粧隅木鼻に隅木蓋付。 ○上に化粧裏板張り。
 屋根 木製本瓦葺(軒先部のみ)。茅負上に造り出し唐草瓦を置き巴瓦及び隅巴瓦をのせる。巴瓦以上を造らず。
 彩色 頭貫以上軒廻りまで丹塗、化粧裏板、小壁等胡粉塗り。屋根墨塗り。円柱、弊軸縁、半長押部金箔押。正面両脇小壁及び面の部分、仏壇腰板は朱漆塗、その他黒漆塗。
金具その他 巴瓦、化粧○、同隅木に各木口金具、長押に釘隠六葉金具。板唐戸に蝶番のほか四隅に飾金具。えび錠付。仏壇上に唐様勾欄付。正面両隅に逆蓮付(金属製)角柱。

向拝 軸部。木製礎盤上に大面取り角柱。柱上に拳鼻付頭貫を入れ、身舎と繋虹梁で繋ぐ。向拝柱上は斗○に組込み身舎には頭貫に仕掛り。
 斗○ 頭貫上に蟇股、柱上は連三つ斗組、巻斗にて丸桁を含む。
 軒廻り 大面取打越 、丸桁上面戸入れ。縋破風は眉欠り、丸桁木口に六葉付懸魚取付。茅負隅反り増付、茅負及び縋破風板上に切裏甲。

屋根 入母屋造本瓦葺。隅棟は稚児棟付。正背面及び両妻とも降り棟を据え、大棟ほか各棟及び前包下とも熨斗積、棟は反り増付。各鬼瓦上に鳥衾、向拝部に留蓋瓦を装置。

妻飾り 前包上に雨切り框を置き扠首組。横篏板壁。支外 を入れ、破風板眉欠り付。六葉付猪の目懸魚。破風板上は切裏甲。西側妻の正面寄りに出入口用の扉付。