長保寺の林叢  340アール

   県指定天然記念物 昭和46年3月22日
 長保寺の全景を概観するとき、その背景が古い森であることが荘厳の感を一層深めてくれる。
 この長保寺の林叢は、寺院の力で古くから保護してきた当地方ではまれにみる常緑広葉樹林で、国宝の建造物や徳川家の墓碑とともに保護するのは当然の価値を有するものである。
 付近の森はマツが主木であるが、340アールに及ぶこの林叢には、100年に近いと思われるマツは東南の林叢にただ1本あるだけである。このことは長年にわたる生存競争の結果、マツ林からシイノキ、ホルトノキ、ヤマモモ、アラカシ、等の常緑広葉樹林に変化していった林である。人々がここに住まない原始林に還ったものと考えられる。
 他に注目される樹種にマツバラン、ハナヤスリ、ハイヂゴザサがある。




清文堂「和歌山県の文化財 第2巻」より