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法華経寿量品       一巻

紺紙金泥 縦28.4 横198.5
江戸中期(享保9年(1724))

 法華経二十八品のうち、第十六品如来寿量品を書写したもの。本紙は紺紙金泥、表紙は緑地に葵門を散らした宝づくし金欄、見返しには金の砂子を散らす。軸端には六角の水晶を用いている。ただし、表装は後世のものである可能性が高い。
 巻末には、享保9年(1724)5月に藩主徳川宗直が書写したとの跋が存する。その直前の三行は抹消されて判読しにくいが、『南紀徳川史』第2冊、31頁によれば、徳川頼宣の年忌に奉納したとの字句が存在したと思われる。この享保9年は頼宣が亡くなった寛文11年(1671)から数えると54回忌に当たるので、おそらく享保5年の50回忌の法会に追善を思い立ち書写を開始して、享保9年に奉納したものであろうと『南紀徳川史』では、推測している。


和歌山県立博物館「長保寺の仏画と経典」より