仏教の歴史 天台と真言

 

僕は、高野山大学を卒業して、本山の修行道場の監督をつとめ、それから現在のお寺の宗旨の比叡山ですべて一から修行しました
真言と天台両方に深い御縁があります
どちらかというと、基礎からきちんと勉強した真言のほうが詳しいです
それでも天台で30年以上やっていますから、内容は理解しています
弘法大師(空海)と伝教大師(最澄)は、弟子の取り合いや、密教の評価の違いがあって、絶縁したのです
才能は空海のほうが上です
だた、歴史は、天台系から念仏、禅、法華と大乗仏教の天才を輩出しました
スパープレーヤー(空海)と優秀なコーチ(最澄)でしょうか
今、真言宗系の末寺は30000ヶ寺位はあるでしょうか
天台宗は3000ヶ寺ほどしかありませんが、比叡山を母とする宗旨は、つまり、真言以外の全てですね
ちなみに、僧侶の世界で、宗旨の席次は天台が上です天台のほうが先に公認されたからです
世界遺産も比叡山が先でした
これは、高野山と熊野をいっしょに登録することで、もめて遅れたからです
天台四教義は五時八教のなかで説かれています

五時八教については、ここでは簡単にふれるだけにします、なにぶん、天台学の精髄ですので、ややこしいのです(汗)

五時
華厳時   (華厳経)
鹿苑時   (阿含経)
方等時   (維摩・思益・金光明・勝鬘等の大乗経)
般若時   (諸種の般若経)
法華・涅槃時(法華経・涅槃経)

化儀四教
頓教  仏の悟りそのものの教説
漸教  浅略から次第に深く説く教説
秘密教 相互に知られず、能力に応じて理解される教説
不定教 教示をうけた側で、能力に応じて理解される教説

化法四教
三蔵教 小乗仏教
通教  声聞・縁覚・菩薩に共通した教法
別教  一般的な大乗仏教
円教  天台の教法
それで、日本にきてから、これに密教が付け加えられました
この付け加え方に、時代的変遷があって、苦労したのがわかります
いずれにしても、真言宗で言う、顕密二教の分類とは全く違います

天台密教では、教主は釈迦如来です、で、釈迦大日一体とします
真言密教では、教主は大日如来です

無量義経に「釈迦牟尼如来を毘盧遮那遍一切処と号す」と書かれていて、 釈迦、大日一体の仏教経典による根拠とされているのですが、慈覚大師と智証大師は入唐して大興善寺の元政阿闍梨に釈迦、大日一体であることを念を押して確認して、仏教の正しい伝統であることをはっきりさせました

弘法大師は十住心論で、「顕薬塵をはらい真言蔵を開く」として、密教以外を薬の能書き、密教だけが薬、というように、釈尊のお経をばっさり切り捨てて、分類しました
大日如来>釈尊で、密勝顕劣ともいいます

しかしながら、現在の真言宗は、観音経や般若心経を祈祷に使って、その霊験を認めています

比叡山では、伝教大師が大乗戒を確立するため、徳一と激しい論争をして、大変な苦労をしました
大乗戒が公に認められたのは、伝教大師の死後です
これは、日本独自の戒律で、現在の日本仏教は、その大乗戒を守っています

弘法大師は、東大寺で行われていた有部律の具足戒(ミャンマーやスリランカと同じ、250程戒律があります)をそのまま採用し、その上にさらに密教の戒律を守ることを求めています

大乗仏教を完成させたのが天台で、加持祈祷を大衆化したのが真言といったところでしょうか
仏教自体の内容は、天台の方が、念仏、禅、法華と枝分かれしたのですから、豊富です
弘法大師は天才だというのは、それでいいんですが、弟子が育たなかったのは、性格的なこともあると思いますね

天台は、初期には密教で真言に遅れをとりましたが、何回も入唐して挽回しました
僕は両方やったからわかるけど、天台の密教解釈のほうが仏教の伝統をより多く踏まえていると思いますよ
たとえば、釈迦大日一体説とか
ただ、天台は大乗戒のために有部律を捨てますから、そこは、真言が有部律ですから世界標準ですね

天台宗は真言宗の約3倍の経典を中国から持ち帰っています
八家秘録(平安時代入唐した八人の僧の請来目録)によると

真言宗関係の請来書
465部  888巻

天台宗関係の請来書
1201部 2326巻

天台宗は慈覚大師、智証大師などにより、最新の経典を根拠に広い視野で密教をとらえるようになっていきました

一口に「比叡山は日本仏教の母山」と言いますが、主な宗派の開祖は皆、一度は比叡山で学んでいます。

法然
(1133-1212)
浄土宗
15才の時、比叡山で得度

親鸞
(1173-1262)
浄土真宗
始め比叡山に学び、後に法然の弟子となる

栄西
(1141-1215)
臨済宗
比叡山に学び、密教の一派、葉上流を興す
二度入宋し天台山にて禅を学ぶ

道元
(1200-1253)
曹洞宗
始め比叡山に学び、栄西の弟子となる
栄西没後入宋し曹洞禅を学ぶ

日蓮
(1222-1282)
日蓮宗
比叡山にて法華経を学ぶ