般若心経 一巻
紙本墨書 縦26.0 横42.2  奈良後期(8世紀) 長保寺蔵

この経巻は、奈良時代中ごろの天平時代に書写された隅寺心経と呼ばれる一連の般若心経のうちの一巻です

隅寺心経は現在50枚ほどが確認されていますが、世界にこれより古い般若心経は現存しません

拡大画像はこちら 隅寺心経の詳しい解説もあります

 

摩訶般若波羅蜜多心経

摩訶(偉大なる)般若(智慧の)波羅蜜多(向こう岸に至る)心(要点の)経(縦糸)

 
観自在菩薩行深般若波羅蜜多時

観自在菩薩が、深く般若波羅蜜(向こう岸に至る智慧)を行じたまいし時

照見五蘊皆空。度一切苦厄

五蘊(色蘊・物質、受・感受作用、想・表象作用、行・意志作用、識・認識作用)は皆、空なりと照らし見て、一切の苦(苦痛)と厄(災害や事故)を度(解決)したまいき


舎利子

舎利子(智慧第一のシャリープトラ)よ

色不異空。空不異色

色(物質)は空に異ならず。空は色(物質)に異ならず

色即是空。空即是色

色(物質)はすなわちこれ空。空はすなわちこれ色(物質)

受想行識亦復如是

(感受作用、表象作用、意志作用、認識作用の)受想行識もまたかくの如し


舎利子

舎利子(智慧第一のシャリープトラ)よ

是諸法空相

この(物質、感受作用、表象作用、意志作用、認識作用の五蘊の)諸法は空を相とし

不生不滅不垢不浄不増不減

生ぜず、滅せず、垢つかず、浄からず、増さず、減らず


是故空中

このゆえに、空の中には

無色。無受想行識

(五蘊である)色無く、受想行識無く

無眼耳鼻舌身意

(五蘊を生じさせる)眼耳鼻舌身意無く

無色声香味触法

(五蘊によって生じる)色声香味触法無し

無眼界。乃至。無意識界

(したがって)眼界も無く、(耳界、鼻界、舌界、身界)ないし意識界も無く

無無明亦無無明尽。乃至。無老死亦無老死尽

(十二因縁の)無明も無く、無明の尽きることも無く、(行も無く、行の尽きることも無く、識も無く、識の尽きることも無く、名色も無く、名識の尽きることも無く、六処も無く、六処の尽きることも無く、触も無く、触の尽きることも無く、受も無く、受の尽きることも無く、愛も無く、愛の尽きることも無く、取も無く、取の尽きることも無く、有も無く、有の尽きることも無く、生も無く、生の尽きることも無く、)ないし、老死も無く、老死の尽きることも無く

無苦集滅道

(四聖諦の)苦集滅道も無く

無智亦無得

智も無く、また、得も無し

以無所得故

(空の中には)得るところ無きをもっての故に

 
 
菩提薩埵

菩提薩埵(シャリープトラ)よ

依般若波羅蜜多。故心無罣礙

般若波羅蜜多(向こう岸に至る智慧)によるが故に心に罣礙(障げ覆うもの)無し

無罣礙。故無有恐怖

罣礙(障げ覆うもの)無きが故に恐怖あること無し

遠離一切顛倒夢想。究竟涅槃

遠く一切の顛倒した夢想を離れ、涅槃を究竟す(涅槃に行き着く)


三世諸仏

(過去、現在、未来の)三世の諸仏(諸々の全ての仏)は

依般若波羅蜜多。故得阿耨多羅三藐三菩提

般若波羅蜜多(向こう岸に至る智慧)によるが故に、阿耨多羅三藐三菩提(無上正等正覚、無上にして正しい覚りに正に等しきもの)を得たまいし


故知。般若波羅蜜多

故に知る、般若波羅蜜多(向こう岸に至る智慧)は

是大神呪。是大明呪。是無上呪。是無等等呪

是れ大神呪なり。是れ大明呪なり。是れ無上呪なり。是れ無等等呪なり

能除一切苦

よく一切の苦を除き

真実不虚

真実にして虚にあらず


故説般若波羅蜜多呪

ゆえに般若波羅蜜多(向こう岸に至る智慧)の呪を説く

即説呪曰

すなわち、呪を説いていわく

羯諦羯諦波羅羯諦波羅僧羯諦菩提薩婆訶

ギャーテーギャーテー、ハーラーギャーテー、ハラソウギャーテー、ボージソワカ

(行くものよ 行くものよ 向こう岸に行くものよ 全ての向こう岸に行くものよ 目覚めよ 栄えあれ)

般若心経

般若(智慧)の心(要点)の経(縦糸)