妙法蓮華経要解       七帖
版本墨刷 縦33.7 横12.6
高麗(13世紀)

本書は、中国・北宗末の靖康2年(1127)、温陵・開元蓮寺の僧侶戒環(生没年不詳)の撰による法華経の注釈書で、華厳禅の思想を内面に持ちながら天台の教義を表面に表して法華経の要領を分科注解したもの。南宗の建炎3年(1129)に中国で出版された原本を、高麗の崔怡(13世紀初頭に高麗王朝で実権を握っていた人物、1249年没)が復刻させたものである。跋文によれば、復刻の年紀は1240年である。本品は宗版の体裁を忠実に復刻しているが、金文字による題箋や金銀泥による表紙の装飾は高麗版の特徴をよく表している。
なお、各巻末には長保寺常住の有成が利益を願って、応仁元年(1467)9月19日に、長保寺に寄進したことが記されている。



和歌山県立博物館「長保寺の仏画と経典」より