大般若経       218帖

紙本墨書 縦25.0 横9.0
室町前期(応永7年(1400)以前〜応永13年(1406))

 大般若経全六百巻は、三蔵法師玄弉がその晩年に完訳した般若経典類の集大成である。長保寺にはそのうち二百十八巻分が残存する。これは室町前期の応永年間に、少なくとも7年以上を費やして長保寺住僧の阿闍梨堅海によって書写・奉納されたものである。もとは巻子本であったが、江戸時代に表紙を付し裏打をほどこして折本にしている。またその際に、10巻ずつ千字文によって順序を記した経帙に収納されるようになった。
 大半の巻末には、書写・校正が完了した日付を記しており、一巻につき3〜4日を要していたことが分かる。また、堅海が「金剛仏子」と名乗っていることから、この時期の長保寺が真言宗であることがうかがわれ、同時に護摩堂の存在も認められる。
 いずれにしても、長保寺に関する江戸時代以前の確実な文献としては古い時期に属する史料であり貴重である。



和歌山県立博物館「長保寺の仏画と経典」より